2022年10月、アフターマーケットエキゾーストブランドの老舗Vance & Hines(バンス&ハインズ)の一手に衝撃が走る。
アフターマーケットエキゾーストといえば、昨今何かと話題になる排ガス規制。我々バイク乗りにとっても身近なテーマかと思います。
米国カリフォルニア州は、他に先んじてこの排ガス規制が進んでおり、全世界的にも環境問題へ意識が傾いている。そんな時代の流れを汲み取って開発された商品がPCX(触媒)搭載のエキゾーストシステム。しかも、高年式車両用エキゾーストはPCXのみにするという大きな決断に踏み切りました。業界大手の英断に対し、他のエキゾーストブランドは静観の構え。現状、全体の流れは変わらずといったところです。
PCX搭載によって、良くも悪くも”従来のバンスらしさ”は薄れてしまった点も事実ではあります。また、商品価格の高騰も痛いところ。ただ、バンスの魅力自体が無くなってしまった訳ではありません。
今回の記事ではそんなPCXに焦点を絞りお届けします。
1. MORE POWER ⇒ LESS HEAT
2. 排ガス規制
3. Power Duals with PCX Technology
4. Hi-Output RR
5. Customer Voice / ブルズアイ
6. 最後に
MORE POWER ⇒ LESS HEAT
PCX(Power Chamber Exhaust)テクノロジーは、高流量のダブルマトリックス触媒を搭載し、ミッドレンジでのトルク伝達を向上させ、よりレスポンスの良い加速を実現します。また、触媒の位置をより後方に配置することで、ストックシステムと比較し、ライダーにくる熱の影響を軽減。快適性を向上させます。
排ガス規制
米国排ガス規制に対応するクリンネスを実現。
米国市場ではより厳しい環境基準の強化が進められており、バンス&ハインズは他社に先がけて開発を進めてきました。また、環境基準に配慮しつつ、ライダーが喜ぶサウンドを提供できる性能を有しているのがPCXテクノロジーというわけです。
今後も バンス&ハインズは、厳しい環境基準に対応する商品展開を更に進め、カリフォルニアを含む米国の49/50州の排ガス基準に適合する商品を展開していく予定です。そして、最終的な目標は世界基準でもあるECEを取得することを目指しています。
上記の写真は17-up ドレッサーデュアルです。前後パイプともに、サイレンサー接続部分に触媒が搭載されています。
Power Duals with PCX Technology
バンス&ハインズを代表するヘッドパイプ。ストックパイプと比較して、パワーアップが見込める点はもちろんのこと、PCX搭載により、ライダーへの熱の負担を大幅に軽減しています。
・PCX™(パワーチャンバーエキゾースト)テクノロジー
・トルクを増大させるように設計されたチャンバー型高流量触媒カートリッジ
・ライダーの快適性のために触媒をパイプ下流に再配置
・カリフォルニア州サンタフェスプリングス製、メイドインU.S.A
価格や品番などの詳細はこちら。
Power Duals Head Pipes
Hi-Output RR
パフォーマンス系カスタムの盛り上がりの中で登場した”King of the Baggers”。ツーリングモデルの巨体をハイスピードで振り回す、一般的なバイクレースとは違った迫力を有すコンテンツ。そんな”King of the Baggers”にインスパイアされた2-1エキゾーストです。
・PCX™(パワーチャンバーエキゾースト)テクノロジー
・トルクを増大させるように設計されたチャンバー型高流量触媒カートリッジ
・軽量ハイグレード304ステンレス製
・手作業によるTIG溶接により製造されています
・仕上がりはワークスとマットブラックの2種類
価格や品番などの詳細はこちら。
Hi-Output RR
Customer Voice / ブルズアイ
今回、PCXについてインプレッションをしてくれたのは、愛知県幸田町に位置するハーレーショップ「ブルズアイ」代表の尾羽氏です。
ブルズアイは、Dynojet社の認定ショップとして数多くのチューニング実績を有しており、ハーレーユーザーに限らず、ショップからも支持を得ている日本有数のインジェクションチューニングショップです。
過去に見解を寄せてくれたBassani Xhaust(バッサーニエキゾースト)についての記事も興味深い内容になっていますので、お時間ある方は合わせてどうぞ。
さて、今回はM8ソフテイル用Hi-Output(PCX付き)を対象とし、「触媒の有無による比較」、「他社2-1との比較」といった2つの観点で検証してもらいました。
車両:2023 FXLRST(117ci)
マフラー:2-into-1 Hi-Output(#47331)
触媒の有無による比較
赤線:PCX無し(同マフラーのPCXを外した状態)
青線:PCX有り
上記グラフはアクセル開度15%・30%・60%・100%におけるPCX有無の比較グラフになります。左肩上がりはトルクカーブ、右肩上がりは馬力のカーブです。このグラフを見ると、アクセル開度30%・60%・100%では2000rpm~3000rpmの辺りでPCX有りの方が、若干トルクの落ち込みが確認できます。アクセル開度15%でも同じ様に、2000rpmからトルクもパワーもPCX有りが無しに比べ下回っています。
高回転時のパワーについては、全開の最高馬力がどちらとも101.8馬力なので、PCXの有無で違いはありませんでした。(各アクセル開度ごとに変わってはいます。)
他社2-1エキゾーストとの比較
青線:2-into-1 Hi-Output PCX(#47331)
オレンジ線:某社2-1エキゾースト(触媒無し)
緑線:某社2-1エキゾースト(触媒有り)
PCXのマフラー実際どうでしたか?
あくまで個人的な意見ですが、同じマフラー・エンジンならPCXの有無で若干トルクが下がる箇所はあるものの、他社製品との比較では、大きく劣るところも無く、(もちろん製品による)部分的には上回っているポイントもあり、性能面での問題は無いと思います。
2000rpmからの落ち込みが気になった方もいるかと思いますが、今回の様に同じ車両で触媒の有無を乗り比べない限り分からないレベルでしょう。
また、音質や音量に関してですが、個人的には、「音の割れ」が無く高回転でもうるさ過ぎ無い。かといって、低速ではしっかり低温気味の心地よい音がするので、私的には良い評価ができました。
Bull’s eye(ブルズアイ)
〒444-0124 愛知県額田郡幸田町大字深溝字茶屋畑3-5
HP:http://www.bullscustom.com/
Facebook:https://www.facebook.com/bulls.eye.92317/
Instagram:https://www.instagram.com/bullseye.oba/
最後に
販売開始から約1年が経過したPCX。
「触媒有りって実際どうなの?」
「今までと何が違うの?」
といった声もあり、今一度PCXについての深掘りをしてみた次第でございます。今回の記事がマフラー選びの一助となれば幸いです。
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